世界ジェラート大使・ユネスコ平和メッセンジャー・能登町ふるさと大使の柴野大造さんと、写真家で能登町ふるさと大使の中乃波木さんが能登町の魅力をお伝えしています。ナビゲーターは綿谷尚子。
ラジオかなざわは、インターネットサイマル放送に対応しています!
パソコンやスマートフォンからお楽しみいただけます!

Copyright::石川県観光連盟
【ゲスト】能登町教育委員会事務局学芸員の寺口学さん
寺口さんは古文書を読み解く専門家で、町に伝わる史料を研究しています。貴重な発見を行う中で、歴史の一部が次第に明らかになってきました。寺口さんの資料を元に今年6月に放送した、「ハンディやしき ふるさとの記憶館」を再放送し、研究成果と活動を紹介しました。
[ハンディやしき ふるさとの記憶館 6月15日放送より]
「筆まめ住職の江戸日記・オーロラ編」
昔むかし、柳田にとっても筆まめなお坊さんがいらっしゃいました。その方は、浄土真宗大谷派真念寺9代目ご住職の慶俊さん。
今回は、慶俊和尚が鬼簿帳に記したオーロラ目撃談をお伝えします。
明和7年・1770年9月の夜、山間のお寺に激震が走りました。
なんと、ご住職が空を見上げますと、北の空が怪しげに赤く染まっているではありませんか!
「北ノ方ノソラ大火ノ如クアカミダチ 其中ニ日アシノ如ク光明アリ」
和尚は赤く染まる空に驚きつつ、海の底が焦げ、その光が空に映っているのではないかと原因を推測しています。
[ハンディやしき ふるさとの記憶館 6月29日放送より]
「筆まめご住職の江戸日記第2弾!空から豆が降ってきた編」
昔むかし能登の柳田に、とっても几帳面で筆まめなお坊さんがいらっしゃいました。
その方は、浄土真宗大谷派真念寺9代目ご住職の慶俊さんです。
前回はご住職が能登に出現したオーロラで赤く染まる空を見て「海の底が焦げ、その光が天に映っているのではないか」と驚いた様子をお伝えしました。
今回は、ご住職が鬼簿帳に記した、空から豆が降ってきたお話です。時は安永2年2月9日、1773年のことです。
(中略)
「二月九日、ソラヨリ大豆、小豆フリ 大 遑同事、又モミ米モフリ申由、アズキマメハウエ申候、不思議ナル事に候、此辺多クヒロヒ申候、越中・かゞモ同事ニ候由、アサノミモフリ候ヨシ」
静かな山間のお寺に再び激震が走りました。突然に空から大豆や小豆が降ってきた怪しげな事件・・・いや驚きの史実とでも申しましょうか。そういえばかつて、県内外で大量のオタマジャクシが空から降った騒動がありましたね。
能登町教育委員会の学芸員で古文書を読み解く寺口学さんは、空からおたまじゃしが降った例を指摘します。
これは2009年に起きたもので、中島市民センターの駐車場にオタマジャクシおよそ100匹が降ったのを皮切りに、同様の目撃情報が県内各地のほか、宮城や埼玉、鹿児島など全国各地で相次ぎ、話題となりました。
原因は「鳥が落とした」「突風や竜巻が巻き上げた」など諸説あります。
信心深い土地柄ですから、天からの贈り物とか考えて、感謝の祈りを捧げたかもしれませんね。
はてさてその真相はいかに。こちらもお楽しみに!
[他の研究]
寺口さんはこの他にも江戸時代の記録から、能登町の願成寺に関連した様々な発見をしました。寄付をした方のご子孫を東京都内で探し当て、それが縁で都内で開かれた催し物に能登のお米を出品する機会を得たり、修行に行くと言って帰らなかったお坊さんの足跡を発見し、ここでも関係者の末裔の方々と交流を深めて冊子を作成しました。
歴史は様々な人物の足跡を残していますが、当地に日本地図を作成した伊能忠敬も訪れています。忠敬が訪れた頃、残された資料から能登は雨だったのではないかと推測できます。
引出しの奥に何百年も眠っていた古文書の数々。そこには先人の暮らしが刻まれています。地道な努力を貫き通し、生涯を田畑と農作業に捧げた人々。繁栄や無病息災を願い、祈りをあげた姿。
文面からは能登で生まれ、風土と共に暮らした後継が浮かんできます。寺口学さんの研究は続きます。
* 下記の「続きを読む」をクリックしてください。観光情報などをご覧いただけます。
【観光・催しインフォメーション】
あえのこと
能登町柳田植物公園施設長「馬場信義」さんによる「あえのこと」の実演をお届けします。
能登町では12月5日と2月9日にあえのことが行われます。「あえのこと」は、田の神様を家に招いてもてなす伝統の農耕儀礼です。農家の主人が水田から迎え入れた神様を古式ゆかしく料理や風呂でもてなし、今年の実りに感謝をささげるものです。国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産で、国指定重要無形民俗文化財でもあり、能登の「宝」と呼ばれています。
「あえのこと」は、田の神をお迎えする12月5日と田の神が田へ出られる2月9日の2回行われます。家の主人は田んぼからうやうやしく神様を家の中に招き入れ、まずはお風呂をすすめます。次に松や木々で飾られた客間に招き入れご馳走を振舞います。
上座には朱色に塗られた上等な御膳の上に、小豆ご飯や煮しめ、魚、甘酒などが用意されています。主人は正座してうやうやしく料理を神様にすすめます。
田の神はこのようにもてなされ、1年の苦労をねぎらい、春まで家族と共に休んでいただきます。そして2月には再び水田に出ていくのです。
神様は私たちの目に映りませんが、豊作を願うと同時に、苦楽を共にした田の神をねぎらおうとする、能登の人々の気持ちが表れており、今日まで変わることなく伝えられてきたことに大きな価値があります。

この番組は、翌週再放送でお送りしていますので12月7日にお聞きの方は11月30日の再放送です。
次回、12月14日は、世界ジェラート騎士で11月にイタリアで開催された国際コンクールで自由部門3位に輝いた「柴野幸介」さんです。